股関節唇損傷
読み方:こかんせつしんそんしょう
症状
初期は歩行時に違和感を感じる程度ですが、徐々にしゃがむ、階段を昇る、長くイスに座るなど股関節を深く曲げる状態時に痛みを感じます。股関節の引っ掛かり感を感じることや、股関節の強張りや可動域制限が出ることがあります。
原因と病態
股関節が動くことによって寛骨臼と大腿骨頭がぶつかり合うことで生じるFemoroacetabular Impingement(FAI)と呼ばれる寛骨臼や大腿骨頭の形に原因があることによって引き起こされるます。また、骨の形態異常がなくとも、ゴルフやサッカーなどのスポーツが原因で生じることもあります。また、転倒、落下、あるいはコンタクトスポーツなどの衝撃でも生じるとされています。
股関節唇とは股関節の臼蓋(受け皿)の縁に取り巻いて付着している吸盤のような組織です。股関節の安定化や荷重分散の役割を果たしています。この股関節唇に損傷が起こるとこれらの機能に障害が出るため関節の安定性が低下し、変形性関節症が進行する原因になると考えられています。
診断
多くの場合は股関節を曲げて圧迫をすることで痛みが誘発される理学所見と、寛骨臼や大腿骨頭の変形などを評価するためのレントゲン写真で診断します。特殊なMRIの撮影方法でも描出できます。
予防と治療
治療は股関節唇に負担のかからない生活指導(股関節の動作指導)とリハビリテーションによる保存療法を行います。特にストレッチが有効とされています。リハビリテーションを行っても改善されない場合や疼痛が強く日常生活動作に大きな障害をきたしている場合は手術療法が選択されます。